活動を島々へ広げる試み

三宅島役所跡と、三宅島の神社をよりよく未来へとの想いで、このホームページを開設して二年半が経ちました。

学校での授業や郷土資料館との関わり、多くの研究者の方からのご助言、島役所跡への転居、沢山の島の「古老」との出会い、神職の仕事‥‥様々な機会に恵まれ、「子どもたちへ伝えて行きたい大切なもの」をより意識し、活動の方向性を整理中です。

 

もちろん、大切な古い記憶をひたすらに島の方々から学んでいくことが中心です。加え、三宅島にとどまることなくより広く伊豆諸島の島々における暮らしの知恵と祈りの有様を学び、後世へ伝えてゆく動きを考えています。

三宅島の中でも、旧五か村は様々な独自性があり各々のアイデンティティを持ちます。五つの地区各々の方々とお話をするとき、島外から来た者であり富賀神社に携わる私は、どの地区の話もで同じように興味深く共感をもって聞くことができます。お話をしてくれる方もまた、どの地区の者でもない私に対し、色々な思いを含め話をしてくれるように感じています。他の島でお話を聞くときもまた、似た状況を覚えます。

伊豆諸島の島々がお互いに関わり合い、信仰の上でもひとつのまとまりがあることを、三宅島の神社に携わる中でより深く感じてきました。島々を知ることで、三宅のこともより理解することができるでしょう。各々の島の特徴の魅力的なこと。同時に、共通の自然や文化の特徴も多く、心強い仲間だと思います。「残念ながら」どの島も元々のふるさとにもたない私ができる仕事は、共感しながらも一歩ひき、公平に島々をみることかもしれない、と考え始めたのです。

HPもリニューアル作業中です。

2024年4月

『島がみえる』を始めるまでのこと

2019年~保存活動については「三宅島役所跡」HPに掲載しています。

 

同時に、東京都指定無形民俗文化財である 神事芸能が 現在行われておらず、実際に体験した人が高齢となって 再現できなくなってしまう可能性を危惧し、取り組みはじめました。「御笏神社の神事」を 宮司の許可の元に 協力者を得て稽古をし(ほぼ再現でき)、2021年10月の大祭で行うことが予定されていましたが、神社の都合や感染症の影響などで、稽古や復活への動きが滞っています。

 

同じく指定されている「三宅島の歌と踊り」の「神着の踊り」についても、休止中の三宅島神着芸能保存会踊りの部の復活へ向け、周囲の方々へ相談をしています(感染症の影響などで聞き取り調査や稽古の予定が停滞中)。

 

 

以上のような、「三宅島役所跡」や「三宅島の神社」についてなど、島の文化をめぐる いくつもの急務と思われる課題に対応するためには、島役所跡や神社を、よりいっそう ’周囲から支えていく’ 必要があるのが 現状です。一緒に支える仲間となってくださる方々へ呼びかけ、これまでの経験を活かして 私自身ができることへ 全力で励む必要性に気づき、微力ながら支える力のひとつとして、個人的な活動を発信することにしました。

2021年9月 

「島がみえる」HP開設当時の想い

海からそびえる山=島。ここからはいつも海がみえ、向こうにまた別の島がみえる。その景色から、伊豆諸島の神話を語ることもでき、神話は 今も祭のなかで謡われている

また、限られた空間の内に古をのこしながらも、外のものを受け入れてくれる風が、三宅では特に感じられます。

この、美しさと優しさを伴った 島でこその 深い歴史と文化に惹かれ、ずっとここにいたいと思いました。

心にしみる海山の恩恵、古の記憶。島の慈しみを感じ、島を慈しむ心。

謙虚さと誠実さ、公平さ、良い意味での寛容性。そして自戒も込め、一貫性を。

 

 

しかし目の前で、様々な 大切なもの が 失われつつある予感がしました。

移り変わってゆくのが必至である中でも、大事な物事を保ち あるいは取り戻して、

「いいひと」「いいところ」を育みたい…! みえてきた課題に 居てもたってもいられず、できることを少しずつ試みています。 穏やかな暮らしが第一とはいえ、守るべきものがある時・どうしても必要な折には(もちろん女子だって。) あえて声をあげなくてはなりません。

 

よりよく、より深く、より心地よく、そしてきちんと、島がみえたらいいなあ。

さらに、この小さな島をみつめることによって得られる事柄や実践が、文化を育む一つの力となり、他の地域やより広い社会へとも繋がってゆけば…

 学生時代に人文地理学の教室にて、民俗学・文化人類学・生活空間論などの分野を自由に学びフィールドワークを行う中で感じた「住み込み調査」「参与観察」や、学際性(そして脱・縦割りの感覚!)の意義を、今再認識しています。

 

これまでに興味をもってきたことや 学んできたことを以て 島に 社会に 尽くしたい気持ちで、

大好きなこの伊豆諸島に 暮らしてこそ「みえる」こと・もの を、発信していきます

 

ご一緒に  五感で・心で・頭で・島をみつめるひと、大募集 !

 

      2021(令和3)年9月              島をみつめる ひとりの移住者・島民として  やなぎはらゆうこ